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Josephリポート

京都サンガサポーター「ヨーゼフ」のブログ
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高森朝雄×ちばてつや「あしたのジョー」
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    「あしたのジョー」という作品は我々に何を伝えたかったのか?

    極限までストイックな男の物語と語るには余りに安っぽい。また「スポ根」の代名詞として認知されているが、所謂「スポ根」としてカテゴライズされるものとは明らかに違う。

    何回読んでも解りません。しかし読み出したら止まらなくなる。気がつけば作品の中に引き込まれていく感じです。

    スタートから力石との対決までは確かにスポ根要素満点です。しかしウルフ金串戦後から対決までの主役は明らかに力石であり、結果も主人公であるジョーがノックアウト負けを喫します(実はジョーのテンカウントでの負けはこれが唯一)。そして力石が死んで以降、この作品は全く別次元のものに変貌したと思うのです。

    私はある2人の人物が物語のキーパーソンになっていると感じています。1人は白木葉子。もう1人は林紀子、そう乾物屋の1人娘の紀ちゃんです。この女性2人はかなり似た容姿として紹介されます。また作中にてこの2人が絡む事は一切ありません。

    まず葉子ですが、ジョーとの関わりでは物語を左右させたと言っても良いし、最後には男と女を意識するところにまで発展します。彼女は力石亡き後からジョーへの執着を強めていきます。両者は決して良好な関係には表現されぬままでしたが、密かにジョーの世界チャンピオン獲得へのロードマップを描き、結果ホセ・メンドーサとの世界タイトル戦にまでのぼりつめられたのは彼女の尽力があってこそです。そして「リングで死ぬべき」とハッパを掛けていたのが最後は一転して「死なせたくない」気持ちを露にする姿が本当に痛々しい。ヒロインに値する重要なキャラクターでした。

    紀ちゃんは出番こそ少ないが全く別のアプローチでジョーに関わって行きます。

    山谷を拠点に活動スタートさせた時から身の回りの世話をしてくれるなどとても可愛い女性で気がつけばジョーに好意を持っていました。そして丹下ジムでは半ばフリーパスで出入りが許され挙げ句はセコンドのアシスタントまでやった事があります。彼女がクローズアップされるのはやはり最初で最後のデートとなったあの「真っ白に燃え尽きる」のシーンです。この作品の最終方向を確定させたと言っても良いでしょう。そして紀ちゃんはこの日をもってジョーと決別します。

    この場面、実はジョーからデートに誘います。カーロス・リベラとの死闘直後の不安定な状態ゆえの気まぐれともとれますが、以前から好意を持たれているのを知っていたからこその彼なりの誠意だったとも思うのです。またジョーも紀ちゃんに好意がなかった訳じゃなく、もっと自分の事を理解して貰いたいからこそ、あのジョーが自らの人生感について素直に話したと思うのです。しかしジョーに「普通の人生」を求めていた彼女はそんな人生感を受け入れる事は出来ず、最後は親友のマンモス西と結婚します。そしてジョーは吹っ切れたかのごとく正真正銘のプロボクサーとして突き進んで行きます。

    ボクシングが題材ゆえに男臭く殺伐とした場面が多い中で、この2人の女性をジョーに絡ませたのは、ジョーの人間性を強く印象付ける上で都合良かったのだと思います。男では殴って終わりですから(笑)。またこの2人の共演が無かったのは、作品の性質上、ジョーをめぐる陳腐な三角関係的なものになるのを避けたのと、あるコラムにも書かれていたのですが、どうも葉子は梶原一騎、紀ちゃんはちばてつやが得意とするキャラクター設定らしく、容姿を似せて登場させている事からも、タイプの異なるこの2人の女性を全く別の場面にてジョーと絡ませる事で対比させていたのかなあと思ったりしています。

    いずれにせよこういう事を真剣に考えてさせてくれるのがこの作品の素晴らしさですね。

    勿論、男臭い場面でも見所は多くあります。例えば丹下段平は作品全体を通じて最重要キャラクターです。しかし敢えて今回は2人の女性キャラクターに注目させていただきました。

    最後にこの作品は我々に何を伝えたかったのか?

    もはや原作者にもわからないかも知れません。もう「あしたのジョー」は自分のモノではなく読者のモノだとちばてつやも言ってますから。

    そして読者それぞれに何かしらが深く伝わったからこそ日本漫画史上の最高傑作と評されているのだと思います。
    | 漫画 | 22:38 | comments(0) | - | - | - |